転職の面接で必ずと言っていいほど聞かれる「退職理由」。
いざ答えようとしても、「面接で退職理由が思いつかない…」と頭を抱えてしまう方は少なくありません。
特に、人間関係やメンタルの不調が本当の理由であったり、パートの面接で退職理由が思いつかない場合など、正直に話すべきか悩む状況は多いでしょう。
転職理由が思いつかないまま面接に臨み、しどろもどろになってしまうのは避けたいものです。
「面接で退職理由を聞かれたらどう答えればいいですか?」という切実な疑問に対し、この記事では面接官が退職理由を聞く理由から丁寧に紐解きます。
退職理由としてダメな例は?逆に退職理由の良い例は?といった具体的なポイントから、絶対に言ってはいけない退職理由、そして退職理由で嘘をつくのはおすすめできないことまで、回答例とNG例を比較しながら詳しく紹介。
転職面接で使える退職理由の例文を30以上掲載し、あなたの転職活動を力強くサポートします。
- 面接官が退職理由を質問する3つの本当の意図がわかる
- ネガティブな本音をポジティブな伝え方に変換する方法が身につく
- 人間関係や給与など、理由別の具体的な回答例文が豊富に見つかる
- パート・アルバイトの面接特有の答え方や注意点も理解できる
面接で退職理由が思いつかない時の基本
- 面接官が退職理由を聞く理由
- 面接で退職理由を聞かれたらどう答えればいいですか?
- 転職理由が思いつかない時の考え方
- 退職理由としてダメな例と言ってはいけない退職理由は?
- 退職理由の良い例と転職面接の退職理由の例文
面接官が退職理由を聞く理由

面接官が退職理由を質問するのには、応募者の背景を深く理解し、入社後のミスマッチを未然に防ぐための明確な意図があります。
これは決して詰問や興味本位ではなく、採用における重要な評価プロセスの一部なのです。
主に、以下の3つの視点からあなたのことを見極めようとしています。
1. 早期離職のリスクを見極めるため
企業にとって、採用活動は大きな投資です。
一人の社員を採用するまでには、求人広告費や人材紹介手数料、そして面接官の人件費など、多大なコストと時間がかかっています。
そのため、「前職と同じような理由ですぐに辞めてしまわないか」という点は、最も慎重に確認したいポイントです。
あなたの退職理由が自社でも起こりうる問題だった場合、採用担当者は懸念を抱くでしょう。
2. 仕事への価値観や課題解決能力を知るため
退職という決断に至るまでのプロセスから、あなたの仕事に対する価値観やストレス耐性、課題解決能力を読み取ろうとしています。
例えば、課題に対して改善努力をせず、すべてを環境のせいにしているような印象を与えると、
- 「他責思考が強い」
- 「主体性がない」
と判断される可能性があります。
逆に、困難な状況でどのように考え、行動したのかを具体的に語れれば、ポジティブな評価に繋がります。
3. 自社とのカルチャーマッチを確認するため
あなたの退職理由は、あなたが「次の職場に何を求めているか」を映し出す鏡でもあります。
例えば、「チームで協力し合う文化で働きたい」という退職理由であれば、個人主義の強い企業とはミスマッチと判断されるかもしれません。
厚生労働省の令和5年雇用動向調査結果によると、転職理由の上位には「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」「職場の人間関係が好ましくなかった」といった項目が並びます。
面接官は、こうした一般的な退職理由の背景にあるあなたの本質的な動機を探り、自社の文化や働き方に本当にフィットするかを見極めているのです。
面接官が知りたいのは「未来への貢献意欲」
面接官は、あなたの過去を詮索したいわけではありません。
退職という経験を通して何を学び、その学びを自社でどのように活かして貢献してくれるのかという、未来志向の視点を何よりも重視しています。
面接で退職理由を聞かれたらどう答えればいいですか?

面接で退職理由を答える際は、単に辞めた事実を述べるのではなく、「キャリアアップのためのポジティブな選択」として語ることが極めて重要です。
たとえ本音が給与や人間関係といったネガティブな理由であっても、それを前向きな成長意欲に変換し、応募企業への志望動機と一貫性を持たせることが成功のカギとなります。
理想的な回答は、以下の4つの要素で構成されたストーリーです。
退職理由の黄金構成(4ステップ)
- 【感謝・学び】前職での経験に対する感謝や、そこで得られたスキルについて簡潔に触れる。
- 【きっかけ・課題】退職を考えた客観的な事実や、キャリアプランとの間に生じた課題を説明する。
- 【目標・意欲】その課題を解決し、次にどのような環境で何を成し遂げたいのかという未来志向の目標を語る。
- 【志望動機】だからこそ、その目標が実現できる環境である貴社を志望した、と熱意をもって結びつける。
この流れで話すことで、単なる不満からの逃避ではなく、キャリアプランに基づいた主体的な転職であることを論理的に印象付けられます。
例えば「給料が安かった」という本音も、「成果を正当に評価していただき、より高いモチベーションで貢献できる環境に身を置きたい」と言い換えるだけで、プロフェッショナルな印象に大きく変わりますよ。
大切なのは、嘘をつくのではなく、事実のどの側面に光を当てて伝えるかという視点です。
前職への批判や愚痴は絶対に避け、自信を持って簡潔に(1分程度で)話せるように準備しておきましょう。
転職理由が思いつかない時の考え方

勢いで辞めてしまった・・・
不満が多すぎて、何から話せばいいか分からない
など、転職理由がうまく言語化できない時は、一度立ち止まって自分の内面と向き合う自己分析のステップが必要です。
以下の手順に沿って、漠然とした感情を具体的な言葉に整理していきましょう。
ステップ1:辞めたいと思った理由・瞬間を全て書き出す
まずは、頭の中にあるモヤモヤをフィルターなしで全て紙やテキストエディタに書き出します。
綺麗にまとめる必要はありません。
- 「給与が低い」
- 「残業が月80時間を超えた」
- 「上司の指示が理不尽だった」
- 「正当に評価されない」
- 「会社の将来が不安」
など、どんな些細なことでも構いません。誰にも見せない自分の本音を吐き出すことが目的です。
ステップ2:書き出した理由を「ポジティブな欲求」に変換する
次に、書き出したネガティブな理由の裏側に隠れている「本当はどうありたいのか?」というポジティブな欲求を見つけ出します。これは、あなたの仕事における価値観そのものです。
ネガティブな理由(本音) | ポジティブな欲求(変換後) |
---|---|
給与が低い、評価されない | 成果や実力を正当に評価されたい |
残業が多い、休みが取れない | 効率的に働き、ワークライフバランスを整えたい |
人間関係がうまくいかない | チームで協力し、オープンに議論できる環境で働きたい |
スキルアップできない | 専門性を高め、市場価値の高い人材になりたい |
このように変換することで、未来志向の具体的な転職軸が見えてきます。
ステップ3:理想の働き方に優先順位をつける
変換したポジティブな欲求の中から、自分にとって「これだけは絶対に譲れない」という条件は何かを考え、優先順位をつけます。
全ての希望を100%叶える職場を見つけるのは困難です。自分が仕事に最も求める価値観を明確にすることが、企業選びで後悔しないためのブレない軸となります。
ステップ4:転職理由と志望動機を一貫したストーリーにする
最後に、明確になったあなたの転職の軸(最も優先したいこと)と、応募先企業の特徴や強みを結びつけて、一貫性のあるストーリーを完成させます。
「前職では叶わなかった〇〇という働き方を、△△という強みを持つ貴社でなら実現できると考えた」
という論理的な流れで説明できるように、何度も声に出して練習しましょう。
退職理由としてダメな例と言ってはいけない退職理由は?

面接の場で伝える退職理由には、あなたの評価を著しく下げてしまう可能性のある「地雷」が存在します。
これらはスキルや経験以前に、社会人としてのプロフェッショナリズムや人間性を疑われかねないため、絶対に避けなければなりません。
特に、前職の会社や特定の個人に対する不平不満、悪口、批判は、最も言ってはいけない退職理由の筆頭です。
たとえそれが紛れもない事実であったとしても、「上司とそりが合わなくて」「会社の方針がコロコロ変わって」といった他責にする発言は、「この人は入社しても環境のせいにしてすぐに辞めるのではないか」という強い懸念を抱かせます。
また、給与や待遇、労働時間といった条件面への不満だけをストレートに伝えるのも、「自社への共感ではなく、条件さえ良ければどこでも良いのでは?」と思われ、仕事への意欲を疑われる原因になります。
【厳禁】絶対に避けるべき退職理由の伝え方
- 他責・批判:「上司が〜」「会社の体質が〜」と、原因を自分以外のものに求める発言。協調性や問題解決能力の欠如を疑われます。
- 不平不満:給与、残業、休日など、条件面に関する愚痴や文句だけを述べること。成長意欲がないと見なされます。
- 受動的な姿勢:「会社の業績が悪化したので仕方なく」「リストラされたので」など、主体性が感じられない表現。
- 抽象的すぎる理由:「自分の成長のため」「キャリアアップのため」という言葉だけでは、具体性がなく誰にでも言えるため、何も伝わりません。
これらの理由は、あなたの印象をネガティブにするだけでなく、「この応募者はストレス耐性が低く、環境適応能力に課題があるかもしれない」と判断される重大なリスクを伴います。
退職理由の良い例と転職面接の退職理由の例文

面接官に好印象を与え、納得感を持ってもらえる退職理由は、
- 「一貫性のあるロジック」
- 「未来志向の意欲」
- 「応募先企業への貢献意欲」
の3つの要素が明確に示されているものです。
単に「辞めた理由」を過去の話として語るのではなく、その経験を通じて何を学び、次にどう活かしたいのかという未来志向の視点で語ることが極めて重要です。
良い例の基本構造は、「現職(前職)での経験と貢献」→「さらなる目標や挑戦したいことの発生」→「現職ではそれが実現できない客観的な理由」→「応募先企業でならそれが実現できると考えた具体的な理由」となります。
この流れは、あなたの退職がネガティブな逃避ではなく、明確なキャリアプランに基づいたポジティブなステップであることを力強く示します。
【例文1:キャリアアップ(営業職)】
現職では、新規顧客開拓の営業として、個人の目標達成に邁進してまいりました。
3年間で目標を継続達成する中で、個々の顧客とより深く長期的な関係を築き、顧客の事業成功にまで貢献することに、大きなやりがいを感じるようになりました。
しかし、現職の評価制度は新規契約件数に重きを置いているため、既存顧客への深耕よりも常に新規開拓を優先せざるを得ない状況でした。
顧客第一主義を掲げ、カスタマーサクセス部門にも力を入れている貴社でこそ、私の目指す顧客本位の営業スタイルを高いレベルで実現できると考え、転職を決意いたしました。
【例文2:スキルアップ(エンジニア職)】
現職では、主に既存システムの保守・運用に3年間携わり、安定稼働を支える責任感とトラブルシューティング能力を培いました。
この経験に感謝している一方で、よりモダンな開発環境で新しい技術を積極的に学び、サービスをゼロから構築する経験を積みたいという思いが強くなりました。
現職の技術スタックや開発方針では、新しい技術の導入が難しい状況です。
常に技術革新を追求し、エンジニアの成長を支援する文化を持つ貴社で、これまで培った基盤を活かしながら、新たな価値創造に挑戦したいと考えております。
【例文3:業務効率化への貢献意欲(事務職)】
現職では5年間、経理事務として定型業務の正確性と迅速性を追求してまいりました。
その中で、RPAやマクロを活用した業務効率化に強い関心を持ち、独学で資格も取得しました。
しかし、現職では前例踏襲の文化が強く、新たなツールの導入提案が難しい状況でした。
全社でDXを推進し、組織全体の生産性向上に積極的に取り組んでいる貴社で、自身のスキルを活かしたいと考えております。
【例文4:事業フェーズへの挑戦(企画職)】
前職では、安定した既存事業のグロースハックに携わってまいりました。
市場分析から施策実行まで一貫して担当し、事業成長に貢献できたことにやりがいを感じています。
その一方で、0から1を生み出す新規事業の立ち上げフェーズに身を置き、自身の企画力をより厳しい環境で試したいという思いが強くなりました。
新たな市場開拓に挑戦されている貴社で、事業の核となるサービス作りに貢献したいです。」
【例文5:施設理念への共感(介護職)】
利用者様一人ひとりとじっくり向き合い、その方らしい生活を支えるケアを理想としていますが、現職では効率性が重視される場面が多く、理想とのギャップを感じておりました。
『個別ケアの徹底』を理念に掲げ、職員一人当たりの担当人数にも配慮されている貴施設でなら、私の理想とする質の高い介護が実現できると考え、志望いたしました。
【例文6:公務員から民間への挑戦】
市役所職員として、行政という広い視点で市民サービスに携われた経験は大変貴重なものでした。
しかし、より専門的なスキルを磨き、スピード感のある環境で自身の市場価値を高めたいという思いが強くなりました。
特に〇〇の分野で革新的なサービスを展開されている貴社で、これまでの調整能力を活かしつつ、新たな挑戦をしたいと考えております。
【例文7:会社の組織変更に伴う決意】
会社の合併に伴う組織再編により、私の役割が主にマネジメント業務中心となりました。
管理職としての経験も貴重ですが、私はプレイヤーとして現場の最前線でお客様と直接関わることに最も大きなやりがいを感じております。
改めて現場でお客様に価値提供をしたいと考え、転職を決意いたしました。
【例文8:家庭の事情からの復帰意欲】
出産・育児のため3年間時短勤務をさせていただきましたが、子どもの成長に伴い、再びフルタイムで責任のある仕事に挑戦したいと強く考えるようになりました。
時間的な制約がある中で培った高い生産性を活かし、今後はフルタイムとして貴社の発展に貢献したいです。
【例文9:Uターン・地域貢献】
これまで8年間、東京でWebマーケティングの経験を積んでまいりました。
このスキルと経験を、今後は自身の地元である〇〇県の活性化に貢献するために活かしたいと考えるようになり、Uターン転職を決意いたしました。
地域に根差した事業を展開されている貴社で、即戦力として貢献できると確信しております。
【例文10:社風への共感】
前職では個人の目標達成が強く求められる環境で、営業としての基礎を叩き込んでいただきました。
一方で、よりチーム全体で情報を共有し、成功事例を分か-ち合いながら組織として成長していくスタイルに魅力を感じるようになりました。
チームワークとナレッジシェアを重視する貴社の文化の中で、個人としても組織の一員としても成長したいと考えています。
これらの例文のように、現職への批判ではなく、あくまで「目指す方向性の違い」として客観的に説明することで、円満な印象を与えつつ、自身の明確なキャリアビジョンと応募先企業への強い熱意を効果的に伝えることができます。

面接で退職理由が思いつかないケース別例文
- 人間関係が理由の例文
- 退職理由がメンタルの場合の伝え方
- 回答例とNG例を一覧で確認
- パートの面接で退職理由が思いつかない時の例文
- 退職理由で嘘はおすすめ?面接での注意点
- 面接で退職理由が思いつかない時のまとめ
人間関係が理由の例文

転職理由として非常に多い一方で、最も正直に伝えにくいのが「人間関係」です。
ストレートに伝えてしまうと、協調性やコミュニケーション能力を疑われ、「どこへ行っても同じ問題を起こすのでは?」というレッテルを貼られかねません。
ここでのポイントは、特定の個人への不満ではなく、「働き方のスタイル」や「組織のカルチャー」といった、より客観的で抽象的なテーマに変換して語ることです。
例えば、「上司と合わなかった」「同僚からの協力が得られなかった」という本音は、「よりチームワークを重視し、メンバー間でオープンに意見交換できる環境で働きたい」という前向きな言葉に言い換えましょう。
これにより、あなたの協調性や、より良い組織作りに貢献したいという成長意欲をアピールすることが可能になります。
厚生労働省の調査でも離職理由の上位に挙げられるほど一般的な悩みですが、伝え方次第で評価は大きく変わります。
【例文11:個人プレーからチームプレーへ】
前職では、個々のメンバーが専門性を活かし、独立して業務を完結させるスタイルが主流でした。
もちろん、個人の裁量が大きく、責任感を持って仕事に取り組むという貴重な経験を積むことができました。
しかし、複数のプロジェクトを経験する中で、チーム全体で知恵を出し合い、密に連携し合うことで、一人では到達できないような、より大きな成果やイノベーションを生み出せるのではないかと強く感じるようになりました。
今後は、貴社のように部門を超えたチーム連携を大切にし、メンバー同士が積極的にコミュニケーションを取りながら一つの目標達成を目指す環境で、自身の力を最大限に発揮したいと考えております。
【例文12:評価制度への言及】
前職では個人の成果が強く評価される文化でした。
もちろん個人の目標達成も重要ですが、私はチームメンバーの成功をサポートし、組織全体の成果を最大化することに大きな喜びを感じます。
個人の実績だけでなく、チームへの貢献度も評価指標に含めている貴社で、一体感を持って働きたいと考えました。
【例文13:コミュニケーション方法への言及】
前職ではチャットやメールでの非同期コミュニケーションが中心で、効率的ではありましたが、時として微妙なニュアンスが伝わりにくい側面もありました。
私は、重要な局面では対面での議論やブレインストーミングを通じてアイデアを昇華させていくプロセスを大切にしたいと考えています。
定期的なチームミーティングや1on1を重視する貴社の文化に強く魅力を感じました。
効果的な言い換えのポイント
NGな本音 | OKな言い換え表現 |
---|---|
【例文14】上司がワンマンで意見を聞いてくれない | トップダウンの意思決定ではなく、現場の意見も尊重されるボトムアップな環境で貢献したい |
【例文15】同僚が非協力的で仕事が進まない | 個人プレーよりも、チーム全体で目標を共有し、協力し合う風土を重視したい |
このように、個人の資質の問題から組織のカルチャーや方向性の問題へと視点をシフトさせることで、ネガティブな印象を効果的に回避できます。
退職理由がメンタルの場合の伝え方

メンタルヘルスの不調を理由に退職した場合、その事実を正直に伝えるべきか、どのように伝えるべきか、悩む方は非常に多いでしょう。
これは非常にデリケートな個人情報であり、伝え方には細心の注意が必要です。
この理由を伝える際に最も重要なのは、
- 現在は完全に回復しており、
- 業務遂行に全く支障がない
という2つの事実を、自信を持って明確に伝えることです。
採用担当者が抱くであろう「再発のリスク」や「業務への影響」といった懸念を、自ら先回りして払拭しなければなりません。
原因が前職の職場環境にあったとしても、感情的に批判するのではなく、あくまで客観的な事実として簡潔に述べることが肝心です。
そして、その療養期間を決코して無駄にせず、自己管理能力の向上など、その経験から何を学び、今後にどう活かすかを付け加えることで、困難を乗り越えた前向きな姿勢をアピールできます。
【最重要】伝えるべき3つの安心材料
- 現在の健康状態:「現在は完全に回復しており、医師からもフルタイムでの就労に全く問題ないとの診断を受けております」と、客観的な根拠を添えて断言します。
- 業務遂行能力:「業務遂行にあたり、ご懸念いただく点はございません」と、仕事への影響がないことを明確に伝えます。
- 自己管理と再発防止策:「この経験からセルフケアの重要性を学び、今ではストレスマネジメントを習慣化しています」など、自己管理能力の高さを具体的にアピールします。
伝える義務はありませんが、もし伝える場合は、これらの要素を盛り込むことで、採用担当者に安心感を与えることができます。
必要に応じて、厚生労働省の働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」などの公的情報を参考に、自身の状況を客観的に説明する準備をしておくと良いでしょう。
【例文16:療養からの復帰】
誠に恐縮ながら、お伝えさせていただきます。
前職在職中、担当プロジェクトの繁忙期が重なった時期があり、自身のキャパシティを超える業務が続いた結果、体調管理が追いつかず、一時的に心身のバランスを崩してしまいました。
そのため、一度キャリアをリセットし、医師の指導のもとで療養に専念することにいたしました。
幸い、現在は完全に回復し、先日、医師からも『フルタイムでの就労に全く問題ない』との診断を受けております。
この経験を通じて、自身のコンディションを客観的に把握し、計画的に業務を進める自己管理能力の重要性を痛感いたしました。
今後はこの大きな学びを活かし、心身ともに万全の状態で、貴社に長期的に貢献していきたいと強く考えております。
回答例とNG例を一覧で確認

退職理由の伝え方一つで、面接官に与える印象は天国と地獄ほど変わります。
ここでは、転職理由としてよくある本音をベースに、評価を大きく下げてしまうNG回答例と、逆に好印象を与え、次のステップに繋がるOK回答例を具体的に対比してご紹介します。
ご自身の状況に最も近いものを参考に、効果的な伝え方をマスターしてください。
退職理由(本音) | NG回答例 ✕ | OK回答例 〇 | ポイント解説 |
---|---|---|---|
【例文17】給与が低い | 「仕事内容の割に給料が安く、生活も厳しかったため辞めました。」 | 「自身のスキルや実績が、より正当に評価される環境で挑戦したいと考えました。成果に応じて待遇に反映される貴社の評価制度に大きな魅力を感じています。」 | 不満ではなく「正当な評価を求める意欲」として変換。企業の評価制度への理解も示す。 |
【例文18】残業が多い | 「毎日終電まで働き、休日出勤も多くて体力的にも精神的にも限界でした。」 | 「業務効率化を自ら提案・実践しましたが、組織的な改善が難しく、今後はより生産性を重視する環境で働きたいと考えました。メリハリをつけて働くことで、貴社に貢献したいです。」 | ただの不満ではなく、主体的な改善行動を示し、生産性への意識の高さをアピール。 |
【例文19】仕事が合わない | 「ルーティンワークばかりで、全くやりがいを感じられませんでした。」 | 「〇〇の経験を積む中で、より専門性を高めたいという思いが強くなりました。現職では機会が限られていたため、△△の分野に挑戦できる貴社を志望いたしました。」 | 「やりがい」という主観的な言葉を避け、「専門性」という具体的なキャリアプランに繋げる。 |
【例文20】会社の将来が不安 | 「会社の業績が悪化していて、この先どうなるか分からなかったので見切りをつけました。」 | 「業界の大きな変化に対応し、積極的に新規事業に挑戦されている貴社の将来性に惹かれました。自身の経験を活かし、貴社の成長に貢献したいです。」 | 企業の弱みではなく、応募先の企業の強みに焦点を当て、自身の貢献意欲と結びつける。 |
【例文21】コンプライアンス意識 | 「サービス残業が当たり前で、会社のやり方が信じられませんでした。」 | 「法令遵守の意識が高く、社員が安心して長く働ける環境で、自身の能力を最大限に発揮したいと考えております。」 | 直接的な批判を避け、求める労働環境を提示することで、価値観の違いを伝える。 |
【例文22】希望しない部署への異動 | 「全く興味のない部署に異動させられたので、やる気をなくしました。」 | 「〇〇の専門性を追求したいという明確な目標がありますが、ジョブローテーション制度により希望とは異なるキャリアとなる可能性が高いため、専門職として一貫したキャリアを築ける貴社を志望しました。」 | 不満ではなくキャリアプランとの不一致を理由にし、一貫したキャリア志向をアピール。 |
【例文23】事業の縮小 | 「私のいた部署がなくなることになったので、仕方なく辞めます。」 | 「会社の事業再編に伴い、私が携わっていた〇〇事業が縮小されることになりました。これまで培った〇〇のスキルを、今後さらに成長が見込まれる貴社の△△事業で活かしたいと考えております。」 | 受動的な表現を避け、会社の状況を客観的に説明した上で、未来への貢献意欲を示す。 |
【例文24】社風が合わない | 「体育会系で飲み会が多く、ノリについていけませんでした。」 | 「業務時間内に集中して成果を出し、プライベートとのメリハリを大切にする働き方を理想としています。効率性を重視する貴社の社風に強く共感いたしました。」 | 批判せず、自身の理想の働き方と企業の文化が合致している点を強調する。 |
NG例はすべて「過去」への不満で終わっていますが、OK例はすべて「未来」の会社で何をしたいか、どう貢献したいかという未来への意欲に繋がっているのがお分かりいただけますね。
パートの面接で退職理由が思いつかない時の例文

パート・アルバイトの面接においても、退職理由は定番の質問です。
正社員の転職とは少し異なり、「勤務条件(シフトや時間)」や「家庭の事情」が理由になることが多いため、嘘をつかずに正直に、かつ前向きな姿勢で伝えることが大切です。
ここでも、前の職場の悪口や不満になるような表現は絶対に避けましょう。
「シフトを減らされた」「時給に不満があった」といったネガティブな理由も、伝え方を少し工夫するだけで印象は大きく変わります。
「もっと安定してシフトに入り貢献したい」「これまでの経験を評価していただける環境で働きたい」といったポジティブで意欲的な表現に変換することがポイントです。
【理由別 例文集】
【例文25:シフト・勤務時間の問題】
- NG例:「急にシフトを減らされて、稼げなくなったので辞めました。」
- OK例:「以前の職場では週2日程度の勤務でしたが、子どもの学校行事も落ち着いてきたため、今後は週4日、1日5時間以上など、より安定して勤務したいと考えております。平日を中心にしっかりとシフトに入れる貴店で、地域のお客様のために長く貢献したいです。」
【例文26:家庭の事情(転居など)】
- NG例:「夫の転勤で仕方なく辞めました。」
- OK例:「配偶者の転勤に伴い、〇月にこちらの地域に引っ越してまいりました。以前も同じ業界で3年間勤務しておりましたので、その際の接客経験を活かして、一日も早く貴店のお役に立ちたいと考えております。」
【例文27:仕事内容に関する理由】
- NG例:「レジ打ちばかりでつまらなかったです。」
- OK例:「以前はレジ業務が中心でしたが、お客様と接する経験を積む中で、より深く商品の魅力をお伝えしたり、お客様のご相談に乗る仕事がしたいと考えるようになりました。お客様への丁寧な商品提案にも力を入れている貴店で、自身の接客スキルをさらに高めていきたいです。」
【例文28:扶養内勤務の希望】
以前の職場では、繁忙期に残業や休日出勤が増え、扶養の範囲を超える可能性がありました。家庭とのバランスを考え、扶養内で安定して働ける環境を希望しており、シフト管理が徹底されている貴店を志望いたしました。
【例文29:Wワークのため】
現在、別の仕事と両立しており、週2日の勤務が可能な職場を探しております。土日中心のシフトに入れる貴店であれば、もう一方の仕事とも両立しながら、しっかりと貢献できると考えました。
【例文30:学生・学業優先】
大学での専門課程が本格化し、平日夜間のシフトが中心だった以前の職場では学業との両立が難しくなってしまいました。学業のスケジュールをご理解いただき、試験期間なども柔軟にご対応いただけると伺った貴店で、卒業まで長く働きたいと考えております。
パートの面接では、「なぜこの職場で働きたいのか」という意欲と、「長く安定して続けてくれそうか」という継続性が特に重視されます。
退職理由と志望動機を自然に結びつけ、「ここで頑張りたい」という熱意をしっかりとアピールしましょう。
退職理由で嘘はおすすめ?面接での注意点

本音をそのまま伝えたら確実に落ちる…。いっそのこと、体裁の良い嘘の理由を話した方が良いのではないか?
と、考えがよぎる方もいるかもしれません。
しかし、結論から言うと、退職理由で完全な嘘をつくことは絶対におすすめできませんし、非常に危険です。
嘘は、面接の受け答えの中で必ず矛盾を生み、百戦錬磨の面接官には簡単に見抜かれてしまいます。
熟練した面接官は、話の辻褄が合わない点や、不自然な表情の変化、声のトーンを鋭く見抜きます。
一つの嘘を取り繕うために次々と嘘を重ね、深掘りされた質問に答えられなくなってしまえば、「誠実さに欠ける人物」として、スキルや経験以前の問題で信頼を完全に失います。
また、万が一嘘がバレないまま入社できたとしても、入社後に経歴詐称などが発覚した場合、最悪のケースでは懲戒解雇の対象となるリスクさえあります。
絶対に混同してはいけない「嘘」と「ポジティブな言い換え」
ここで重要なのは、「嘘をつく」ことと「ポジティブに言い換える」ことは全くの別物であると明確に理解することです。
- 嘘(NG):事実を捏造すること。例えば、「倒産していない会社を『会社の都合で事業所が閉鎖された』と言う」「経験のない業務を『中心的に担当していた』と言う」など。これは経歴詐称にあたります。
- ポジティブな言い換え(OK):事実をどの角度から、どのような言葉で伝えるかという表現の工夫です。「給料が低い」という事実の裏にある「成果を正当に評価されたい」という前向きな欲求に焦点を当てて伝えることです。
自分を偽る必要はありません。
変えられない過去の事実に基づいた上で、自分の未来のキャリアにとってプラスになる側面を切り取って、誠実に伝えることが、面接における信頼関係を築くための正しいコミュニケーションです。
面接で退職理由が思いつかない時のまとめ

この記事では、面接で退職理由が思いつかない時の具体的な考え方から、様々なケースに応じた例文、そして伝える際の注意点までを網羅的に解説しました。
突然の質問に慌てないよう、最後に面接を乗り切るための重要なポイントをリストで振り返ります。しっかり準備して、自信を持って面接に臨みましょう。
- 面接官は早期離職リスクや人柄を見極めるために退職理由を聞く
- 退職理由はネガティブな本音をポジティブな言葉に変換して伝えるのが鉄則
- 前職の会社や人間関係に対する不平不満・悪口は絶対に言わない
- 転職理由が思いつかない時はまず自分の本音を全て書き出すことから始める
- 書き出したネガティブな理由を「どうなりたいか」というポジティブな欲求に変換する
- 人間関係が理由は「働き方のスタイル」や「組織カルチャーの違い」に置き換える
- メンタル不調が理由は「完治」と「業務に支障がないこと」を明確に伝える
- 給与や残業の不満は「正当な評価」や「生産性の向上」という前向きな言葉で表現する
- パートの面接では「安定して長く働きたい」という意欲を示すことが重要
- 事実を捏造する「嘘」はNG、信頼を失うリスクが高すぎる
- 事実の伝え方を工夫する「ポジティブな言い換え」は必須のテクニック
- 退職理由と応募先企業への志望動機には必ず一貫性を持たせる
- 話が長くならないよう1分程度で簡潔に、分かりやすく伝えることを心がける
- 退職は過去からの逃避ではなく、未来へのポジティブなステップであることをアピールする
- しっかり準備すれば自信が生まれ、その自信が説得力を増す